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開催レポート:3月9日:第2回ブックハンター関西読書会@武庫之荘

読書会

 第2回の読書会、参加者5名で楽しい時間を過ごすことができました。

 主催者発表本は、長いお別れ(レイモンド・チャンドラー) です。事前にこの本を紹介することを公開していたこともあり、今回の小説本は小説が多かったです。

 僕が紹介したのは、ハードボイルド小説の名作、「長いお別れ」です。一人称形式であるにも関わらず、主人公マーロウの内面の描写が極端に少ない代わりに、マーロウが見たこと、言ったこと、行ったことの描写を細かく描写したこの小説は、読むたびに新しい発見があり、僕の一番好きな小説です。

 次の発表者の方も、ご自身の好きな小説を紹介してくれました。「阿寒に果つ」です。昭和20年代の北海道を舞台に、若くして亡くなった天才画家の少女の死をめぐる物語で、作者の自伝的小説です。また、この情念深い作品に対比させて、比較的すっきりした描写の現代の小説として、今年の芥川賞受賞作家である町田良平の「青が破れる」も紹介して頂きました。この2つの小説は、主人公の恋人である女性が自殺するという共通点があります。「阿寒に果つ」では、少女が、自殺する直前、刑務所に入った恋人のために保釈金を払うシーンを印象的に語っておられました。また、最近の芥川賞の動向についても話が及びました。

 これを受けて、(当初予定した紹介本ではなく)次の発表者の方が紹介したのは、16年の芥川賞の受賞作である「コンビニ人間」でした。他の読書会で、読書会ジャンキーとして知られるこの方は、全ての芥川賞受賞作を読んだ中で、この本が一番であり、作者は今後ノーベル賞をとれる作家だとおっしゃってました。この本の主人公のやや常識を欠いた女性は、「普通の女性」であろうとするあまり普通でないような行動をするのですが、これが以外にも世の女性の共感を得ている、ということをおっしゃってました。

 僕もこの作品をおもしろく思っていて、ノーベル賞作家であるカミュの「異邦人」に似ていると言ったところ、共感して頂けました。これらが似ていると思ったのは、両者は共に淡々とした描写の作品であり、「異邦人」は、物語の前半、「普通の男性」ではない主人公ムルソーの主観でまわりの環境や人物が描写され、後半では、他社の客観的な視線がムルソーに向けられ、ムルソーの(他者にとっては)非常識な振る舞いが暴かれます。「コンビニ人間」も、前半と後半で同じような構造をもっていると思っていたからです。ムルソーの行動は、現代の男性からしたらそんなに非常識ではないかもしれません。「コンビニ人間」の主人公の一見異常な行動も、ひょっとしたら現代の女性にとってはミルクコーヒーを飲むか、ブラックコーヒーを飲むか程度の違いに過ぎないのかもしれません。

 あと、そういえば「異邦人」でも、恋人のマリーが刑務所のムルソーに献身的な態度をとっているシーンがありましたね。なんか、話が繋がっているように思えておもしろいです!

 次の発表者の方は、前回も来て頂いた方で、「ドイツ人はなぜ年290万円でも生活が豊かなのか」を紹介して頂きました。この年290万円というのは、一見少ないようにも思えますが、可処分所得ということで、そう考えると、みんなそんなもんじゃないの?と思うという話をされました。また、「さおだけ屋はなぜ潰れないのか」も紹介して頂きました。この本は、10数年前の本ですが、副業やスモールビジネスが注目されている今こそおもしろい本だとおもいます。

 参加の皆様、ありがとうございました。

 次回の開催は3月23日(土)を予定しております。

 以下は、この日紹介された本です。

長いお別れ
阿寒に果つ
青が破れる
コンビニ人間
ドイツ人はなぜ年290万円でも生活が豊かなのか
さおだけ屋はなぜ潰れないのか

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